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室内楽コンサートを前に
モーツァルトの作品を聴いていただく「和波たかよし室内楽シリーズ2」が近づいてきました。普段はソロの活動をしている私が、室内楽のコンサートを定期的に開こうと考えたのは、若い頃から勉強し、いろいろな機会に演奏してきた室内楽のレパートリーを系統的に発表すると共に、音楽仲間たちとの交流の機会をもっと増やしたいと考えたからでした。また、20年以上もパートナーとして一緒に演奏している妻の土屋美寧子とも、「2重奏」や「ソロと伴奏」の関係ではなく、互いに独立した室内楽奏者として、他の素晴らしい演奏家とのアンサンブル作りに関わる機会を持ちたいと思ったのです。
誰かが室内楽のコンサートを企画すると、とかくその人の技量や音楽性が強く押し出され、共演者はお付き合いといった雰囲気になることがあります。でも、私は全員が音楽の中で自由に振舞いながら、一つの方向へと纏まって行くようなアンサンブルを目指しています。仲間たちが私の部屋に集まって楽しい語らいのときを持ち、そこに聴いて下さる皆様にも加わっていただく、それが私の考えている室内楽の姿なのです。
今回は、幸運にもウィーンからフルートの大御所、ウェルナー・トリップ氏がゲスト出演して下さることになり、日本を代表するチェリストの一人である山崎伸子さん、前回の「室内楽シリーズ」でも共演した若手ヴィオラ奏者の松実健太君、それに土屋美寧子というメンバーで、モーツァルトのピアノ4重奏曲とフルート4重奏曲を2曲ずつ演奏します。既にトリップ氏も来日されリハーサルが始まりましたが、初共演にもかかわらず10年も前からの知り合いのように打ち解けて、楽しく真剣な練習が続いています。リハーサルを重ねる過程で、私たちはそれぞれの音楽と人間性から互いに影響を受け、学び合いながらコンサートに向かって一つの方向へと進みつつあります。クラシック音楽は、世代や国境の垣根を越えて存在する普遍的な素晴らしい文化です。5人でどんなモーツァルトを生み出すことができるのか、今とても楽しみです。
この季節は、受験や就職など、人の将来を左右する大きな出来事の続くときです。そうした流れの渦中にある方々も、心の中が温かくなるようなモーツァルトの調べと共に、リラックスした一夜をお過ごしになりませんか。26日の夜、多くの方々が紀尾井ホールでの私たちの音楽の営みに加わって下さることを、心から願っています。
99年2月 和波たかよし
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