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和波たかよしが選ぶクラシック新譜
「ヴウォルトンのヴィオラ協奏曲」
今月最初にご紹介するCDは、ロシアの世界的ヴィオラ奏者、ユーリー・バシュメットとアンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団ほかによる、ウォルトンの「ヴィオラ協奏曲」とブルッフの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏曲」「ロマンツェ」「コルニドライ」を収めたアルバムです。(RCA BVCC31010・2854円)
イギリスの作曲家ウォルトンが27歳の1929年に書いた「ヴィオラ協奏曲」を、私が初めて聴いたのは、1970年、ロンドンのカールフレッシュ国際コンクールを受けた時のことでした。そのコンクールでは、ヴァイオリンとヴィオラを一緒に審査し、本選の課題曲がヴァイオリンはべートーヴェンかブラームス、ヴィオラはウォルトンの協奏曲だったのです。技巧的には難しくても、内容表現の面ではるかに演奏しやすい20世紀の音楽をべートーヴェンなどと並べて審査するやり方に、私は少々割り切れないものを感じましたが、今はそれも懐かしい思い出です。でも第1楽章の冒頭で長調と短調がない交ぜになった和音の中から現れてくるヴィオラの、どこかもの寂しい主題を聴くと、あの時のほろ苦い気分がよみがえってきます。それはともかく、古風な要素と現代感覚が同居したウォルトンの音楽を、バシュメットの豊かな音と研ぎ澄まされた技巧、それに曲を熟知したオーケストラの生き生きした表情が魅力あふれる演奏に仕上げています。
一方、ヴァイオリンのヴィクトル・トレチャコフが加わったブルッフの「協奏曲」は、彼が73歳の1911年に作られましたが、極めて保守的なロマン派の手法で書かれています。有名なヴァイオリン協奏曲第1番に似た美しさと力強さを持つブルッフらしい音楽で、いわば「知られざる名曲を尋ねる楽しみ」が味わえます。
さて、今月は武満徹の没後3周年に当たりますので、オリヴァー・ナッセン指揮ロンドンシンフォニエッタによる「武満管弦楽作品」のアルバムについて触れておきましょう。(グラモフォン POCG10154・3059円)
ここには、1985年以降に書かれた室内オーケストラのための作品7曲が収められており、ドビュッシーの「海」の断片が現れては消える「夢の陰陽」(1991年)や、島々の美しい景色に霊感を受けた「群島S」(1993年)もあります。イギリスの名手たちが作る武満音楽の響きが胸にしみるアルバムです。
(点字毎日 1999年3月4日号より転載)
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