記事&エッセイ:和波たかよしが選ぶクラシック新譜「ラフマニノフの交響曲ほか」



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和波たかよしが選ぶクラシック新譜
「ラフマニノフの交響曲ほか」

 1873年生まれのラフマニノフは、20世紀前半のロシアを代表するピアニストとして華やかな演奏活動を繰り広げましたが、作曲家としても、チャイコフスキーの流れをくむロシア的叙情味にあふれた作品を数多く残しました。ピアニストであったにもかかわらず、彼は管弦楽法にも優れており、三つの交響曲を含むオーケストラ作品が今も広く愛好されています。今月はその中から1936年に書かれた「交響曲第3番イ短調」をマリス・ヤンソンス指揮サンクトペテルスブルク・フィルハーモニーの演奏でご紹介しましょう。(EMI TOCE 55027・2500円)

 保守的とみられがちだったラフマニノフの作品が最近盛んに演奏されているのは、無機的で分かりにくい一部の現代音楽への反発なのかもしれません。民族色豊かな彼の美しいメロディーを聴いていると、何か心が落ち着いてゆったりと大きな気持ちになれるような気がします。第2次大戦を控えた時期に作られたこの曲には、どこか不安やあせりの陰がつきまとい、時に激しい感情のほとばしりもみられますが、同時に未来への希望と力強いエネルギーがあふれていてダイナミックな響きがオーケストラのだいご味を満喫させてくれます。国際的に豊かな経験を積んだヤンソンスのフレッシュな指揮ぶりが曲をいっそう魅力的で親しみやすいものにしています。
 なお、同じCDにはラフマニノフ最後の作品となった「交響的舞曲」(1940年作)の素晴らしい演奏も収録されています。

 次に取り上げるのは、バーバラ・ヘンドリックスのソプラノとザ・モーゼスホーガンシンガーズによる黒人霊歌集です。(EMI TOCE 55008・2854円)

 無伴奏のコーラスをバックに歌われる黒人霊歌は、時にやや音程の不安定さをみせることもありますが、これがかえって人間的な素朴さにつながる独特な味わいを感じさせます。彼女自身黒人であるヘンドリックスが心からの共感を込めた見事な歌声を聴かせ、オーケストラのように分厚いアレンジを施されたコーラスもゴージャスなアメリカらしい響きをつくり出します。「心悩まされて」などソプラノ一人でしみじみと語るように歌うもの、「ジェリコの戦い」のようにコーラスだけで歌うものなど編曲も変化に富み、21曲それぞれの趣が十分に楽しめます。

(点字毎日 1999年4月1日号より転載)



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