記事&エッセイ:和波たかよしが選ぶクラシック新譜「プレトニョフ、マイスキー、レーピン」



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和波たかよしが選ぶクラシック新譜
「プレトニョフ、マイスキー、レーピン」

 今月は旧ソ連の生んだ3人の演奏家の新録音をご紹介しましょう。
まずは、1957年生まれのピアニスト、ミハイル・プレトニョフの「ラフマニノフへのオマージュ」です(グラモフォンPOCG10163・3059円)

 ラフマニノフの作品については先月も取り上げましたが、このアルバムは彼が1925年に建てたスイスの別荘で彼の愛用した古いスタインウェイのピアノを用いて録音されました。ラフマニノフの「コレッリの主題による変奏曲」と「練習曲集 音の絵」から3曲、加えてラフマニノフが好んで演奏したベートーヴェンの「告別ソナタ」、さらにメンデルスゾーンとショパンの技巧的な作品が収められています。

 プレトニョフは巨匠が弾いていたピアノと対話しながら、素直な心を作品に込めて見事な演奏を聴かせます。特にラフマニノフの作品には、強い共感と畏敬の念がにじみ出ており、憂いに満ちたロシアの叙情と超絶的技巧を織り込んだダイナミックなピアノの世界が味わえます。

 次はチェロのミッシャ・マイスキーがピアノのパーヴェル・ギリロフとの共演でブラームスの「チェロソナタ第1番」と「第2番」、それに7つの歌曲を収めたアルバムです(グラモフォンPOCG10158・2854円)

 朗々とした太く力強い音やダイナミックな表現で人気の高いマイスキーは、ブラームスでも作品の内面に迫るというよりは、テンポや強弱を思い切って変化させながら、メロディーや和音の美しさを強調した彼らしい演奏を繰り広げます。私はもう少し淡々とした精神性の高いブラームスを望みたいのですが、はっきりした主張で曲の特徴を浮き立たせたという点では、やはり聴きごたえがあり、チェロの音の魅力もたっぷり楽しめます。

 最後はワディム・レーピンのヴァイオリンとアレクサンデル・マルコヴイッチのピアノによる「うつろな心」と題した小品集です(エラートWPCS10064・2520円)

 天才少年だったレーピンも20代後半に入って演奏に柔軟さが加わり、高度にきたえ上げた技巧とメロディーを美しく歌わせるヴァイオリンの素晴らしさがふんだんに味わえます。パガニーニやエルンストの超絶技巧を伴う無伴奏曲をはじめヴィエニアフスキの「ポロネーズ」やチャイコフスキーの「メロディー」など変化にとんだ選曲も見事です。

(点字毎日 1999年4月29日号より転載)



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