2月3日 ソウルの1日

 今日は、まるでホリデーのような落ち着いた1日を過ごした。外はずっと氷点下の寒さだったが、私は暖かいホテルの部屋で、午前中は練習。近くのレストランへ連れて行ってもらって昼食には約 800円のビビンバを食べ、少し昼寝をしてからおよそ40分ドライブして室内オーケストラとのリハーサル、7時にはホテルに戻り、ゆっくりバイキングの夕食を食べて1日を終わった。

 オーケストラと弾くのはヴィヴァルディの「冬」だけなので、30分程度で終わった。しかし、このリハーサルがなければ明日の本番はうまく行かないだろう。数日前までは、今朝の便でソウル入りすることを考えていたのだが、やはり飛行機に何かあったりしてリハーサルに遅れるようなことになってはいけないと思い、昨夜の最終便でやってきたのだった。

 今回のコンサートは、障害を持つテノール歌手が中心となって、小児癌の子供たちを支援するチャリティーコンサートが企画されたもので、日中韓の3カ国から障害を持つアーティストが参加している。私のところへは、先月10日頃急に話がもたらされたので、「誰かの代役だろうか」とちょっとひがんでいたのだが、コンサート自体がその頃企画されたのだという。おそらくホールに急なキャンセルがあったのだろう、と私を呼ぶ窓口になってくれたマネージャー氏は言う。「そんな短期間で、お客様は集まるのですか」と聞くと、「ここは日本とは違うから」と彼は応えた。主催者はいろいろなコンタクトを持っているし、宣伝もしているから大丈夫、とのこと。実際、今日のリハーサルにもSBSというテレビ放送のニュース番組のクルーが撮影に来ていた。「明日は感動的なコンサートになりますよ」と彼は言い、「今の青少年に希望を持って生きていって欲しいとのメッセージを伝えるコンサートにしたいのだ」と熱っぽく語っていた。私が、その趣旨に応える演奏で会を盛り上げることに役立てれば、嬉しいと思う。

 コンサートでは「冬」の他に、土屋美寧子とモーツァルトのソナタを弾くステージもある。また、演奏の後にはインタビューも受けることになっている。つい話が長くなってしまう私としては、要領よく、しかも私らしいメッセージを伝えるために、どう話すかを考えて通訳の人と打ち合わせなければならない。だが、それは二の次だ。まずは楽しく、そして私らしい演奏をすること。その1点に集中しようと思う。さて、どんなコンサートになるのだろうか。

和波たかよし

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