3月24日 WBC優勝に思う

 今週は、野球の世界選手権大会で日本が優勝したり、高校野球が始まったり、野球好きの私にはたまらない日々が続いている。そして、いよいよ明日からはプロ野球である。10月までの長い期間、私は移動中や食事の時など、可能な限り野球を聴きながら過ごす。

 なんとなく気持ちがふさぎがちな時、また気分を転換したい時、野球を聴くことで私は頭の中をリフレッシュできる。たぶん、子供の頃からずっとそんな風に過ごしてきたからだろう。その野球で、日本が世界一になった。これほど嬉しいことはない。王監督は、個人的には面識がないが、知らない人のような気がしない。彼の高校時代、甲子園の選抜高校野球で大活躍する様子を、私はラジオで聴いて胸をときめかせていた。その王選手が、史上最多の1シーズン55本のホームランをかっ飛ばした1964年は、私が桐朋学園オーケストラの一員として初めてアメリカの土を踏んだ年である。厳しい練習に明け暮れる時、王さんの活躍がどれほど心を励ましてくれたかしれない。

 彼がホームランの世界新記録を打ち立てた時、私はヨーロッパにいた。あれは父が亡くなった悲しい夏であった。イタリアのシエナで勉強する美寧子と共に私も室内楽クラスで研鑽を積み、帰国して間もなく結婚式を挙げたのだった。

 王さんは、長島ほど饒舌ではないし、派手でもないが、私はそこが好きだった。ホークスの監督を12年も続けているというのが、いかにも彼らしいと思う。だが、監督人生は必ずしも恵まれたものではないような気がする。手塩にかけて育てた選手たちが、まるで恩を仇で返すように巨人に移籍したり、大リーグに行ってしまったりして、王さんのもとを離れていく。寂しくはないだろうか。たとえ選手が手薄になっても、彼はまた必死になって優勝を狙わなければならない。果てしない孤独の道ではなかろうか。

 そんな彼に、野球の神様は世界一の照合を授けた。素晴らしいことだと思う。私たちをずっと励まし続けてくれた王さんが、これからずっと幸せで満ち足りた日々を過ごされることを祈って止まない。

 ところで、今日の私は完全休養日だった。昨日は渋谷の編集スタジオで、ベートーヴェンのCD録音の編集作業に立ち会って、かなり疲れた。それで、今日は何も予定を入れずに、ゆったり練習しながら過ごした。明日は17日ぶりに、レッスンを再開する。野球の開幕に合わせるように、私もそろそろ動き始める。

和波たかよし

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