8月24日 涼しい八ヶ岳から

 今、私は八ヶ岳で、門下生の合宿をやっている。火曜日から4日間の短い合宿だが、最大で11人、現在は9人が残って一緒に勉強を続けている。通常のサマーコースとは違い、レッスンを全員が聴講し、すべての問題を自分たちのこととして考えながら、音楽について、ヴァイオリンについて、少しずつでも学んでいこうというのがコンセプトだ。

 皆私のよく知っている生徒たちなので、レッスンの始まる時間には誰一人遅れずに集まるし、レッスン中も静かに、熱心に耳を傾けている。ここで浮き彫りになった問題を全員が持ち帰り、それをバネに次のステップへと進んで欲しい、と願いながらレッスンを続けている。美寧子は全員のピアノを受け持って大忙しだが、真剣に頑張っている。とにかく、音楽のために働けるのは、我々にとって何よりの生き甲斐なのだ。

 通常のサマーコースに比べると、レッスン時間が少ないので、私の生活にも余裕があり、時々サイトウ・キネンで演奏するショスタコーヴィチの交響曲の譜読みをしたり、テレビのニュースや野球を聴いたりしている。今夜のテレビニュースでは、自民党の総裁選挙の話題が報じられた。安倍官房長官が、断然有利なのだという。なぜそうなるのだろう。私は、またしても暗く憂鬱な気持ちになる。

 安倍氏は、アメリカとの関係をいっそう強固なものにしようとしている。それが日本を危険な道に近づけることになるのだと、なぜ国民は気付かないのだろうか。

 今朝のNHKラジオで、ある大学教授が「イランに頑なな保守的政権ができてしまったのは、ブッシュ大統領の責任だ「とはっきり語っていた。他にも、NHKテレビの「クローズアップ現代」で、アメリカ人の同じ意見を聞いたことがある。「アメリカは、アラブの過激派を勢いづかせている」と。

 政府与党の人たちは、そんなアメリカにできるだけすり寄って、アメリカの後押しで安全保障理事会の常任理事国にしてもらおうと考えているのかもしれない。だが私は、アメリカはいざとなれば後押ししてくれないと思う。それどころか、アメリカとの同盟関係が強くなればなるほど多くの国を敵に回すことになるから、世界中の反対に遭って惨めな挫折を味わうのが関の山だろう。なぜそれがわからないのか、私は不思議でならない。

 ブッシュさんは、カウボーイのような性格だから、敵を作るのが大好きなのだ。しかも、指導力が優れているから、アメリカを見事な非民主主義国家にしてしまった。地球温暖化対策にも背を向け、軍縮にも背を向け、ひたすら自分たちだけの利益を追い求めている国なのだ。もちろん、今の日本がアメリカとの同盟関係を維持しなければならないのは分かる。だが、それはほどほどの関係でなければならない。

 以前、日本は「全方位外交」を唱えて、どこの国とも仲良くする政策をとった。そんな中で、私は欧米で仕事ができるようになった。皆日本人にとても親切だったし、温かく接してくれた。だが今は、事情がかなり変わってきた。アメリカの「テロとの戦い」に積極的な支持を表明し、実質的には日本も戦争の仲間に入ってしまった。明らかな「憲法違反」である。

安倍さんは、北朝鮮のミサイルが発射された時、まるで「大本営発表」みたいないかめしい物言いで、声明文を読み上げた。彼は勇ましい人である。だから、多くの国民が支持するのだろう。それが危ないのだ。「平和こそ最も大切なものなのだ」ということを、どうか忘れないで欲しい。そして、真の民主国家の道を日本が歩んでいけるように、心あるものはもっと強い声を上げるべきなのだ。ずるずると危険な方向へ引っ張られることのないよう、私たちは心を強くして平和を守らなければならない。未来の日本に暮らす人たちのために。

和波たかよし

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