10月27日 明日はあづみ野

  明日は、朝から中央線で穂高へ向かう。サイトウ・キネン以来の長野県である。そして夜は、あづみ野コンサートホールでの演奏会だ。

 このホールでは、2001年の4月から6年連続で演奏させていただいている。大きなホールではないが、お客様との親密で温かい雰囲気の中、毎回 100人前後の方々が集まって聴いてくださる。中には毎回来てくださる方もあり、私もなんだか古里へ帰るような気持ちで毎年あづみ野を楽しみにしているのだ。

 今年は、ショスタコーヴィチのソナタを弾く。私が終生の目標として、常に憧れを持ち続けてきた大ヴァイオリニスト、ダヴィード・オイストラフ。彼の還暦の誕生祝いに、この曲は送られた。そして、彼が61才の時、東京でこの曲を演奏したのを私は聴いた。そのコンサートのことは今もかなりよく覚えているが、ショスタコーヴィチはあまり理解できなかった。当時の私には、少し難しかった。でも、あの時のオイストラフと同じ年になって、しかも今年は作曲者の生誕 100年に当たることもあり、ぜひとも弾いてみたいと思って取り組んできた。

 「なぜ誕生祝いにこんな曲を」と不思議なほど、この曲は暗い。おそらく、当時のソ連社会を投影しているのだろう。時々、心の悶えや葛藤を表すような激しい部分もあり、逆に天井の音楽かと思うような美しさにしばし現実を忘れさせられるような場面もある。私たちにとって新しいレパートリーだから、曲の神髄をどこまで伝えられるかわからないが、とにかく準備してきたことのすべてを出せるよう、集中力を高めて演奏したいと思う。私にとって、また新たな経験が加わる嬉しい日、コンサートは午後6時スタートだ。

和波たかよし

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