1月26日 冬の夜に

 またまたこのページへの書き込みをすっかりサボってしまったが、幸い風邪も引かず、元気な毎日を過ごしている。ただ、なんとなく忙しくて、なかなか落ち着いた気持ちになれない。12月23日のバッハシリーズと、1月28日のアフタヌーンコンサート、この二つの自主公演が、日程の調整の難しさから連続的に開催しなければならなくなり、それが私と妻の用事を増やしている。

 練習は勿論だが、他にも自主公演にはさまざまな用事が付いて回る。だがようやくそれも終わりに近づき、本番が明後日に迫った。アフタヌーンコンサートには私のお話コーナーもあるので、何をどんな風に話すか、頭の中でもう少し整理、整頓しておかなければならない。それと、明日の午後から最後のリハーサルがある。その後は、楽しい本番である。天気が崩れず、たくさんの方が聴きに来てくださることをひたすら祈りながら、当日を迎えようとしている。

 私たちの周辺では、多くの方がチケットを求めてくださったし、遠く北海道から聴きに来られる方もある。だが、残念ながらまだ満員にはなっていない。以前は完売することが多かったこのコンサートだが、最近は満席になることが少なくなった。なぜだろうか、と私は時々悩みに陥るのだが、「その日、その場所で最良の音楽をやろうと努力すること」しか私にはできない。今回も、ぜひとも聴いていただきたい室内楽作品を3曲並べた。少し渋いプログラムだが、トークを織り交ぜながら楽しく聴いていただけるように工夫する、それがコンセプトだ。日曜日の午後、東京文化会館へ来てくださる方々に最高の時間を提供すること、それが私の差し迫った仕事なのである。

 さて、少し話が遡るが、1月12日には東京で、16日には名古屋で発表会を開き、生徒たちが精一杯の演奏を披露してくれた。東京の発表会は11回目、一方の名古屋は初めてである。東京の演奏からは、何か歴史の重みのようなものが感じられ、名古屋では、逆に歴史の浅さを感じさせられた。

 東京でも、第1回からの連続出場は1名、第3回からが1名、と言った具合で、昔からの生徒ばかりが弾いているわけではないのだが、門下生同士で伝え合うもの、感じ合うものがあるのではないだろうか。名古屋の人たちも頑張って、私の意をくみ取り、それに添って弾こうとしていた。ただ、集まったお客様の雰囲気も含めて、まだどこかに堅さのようなものが感じられた気がする。来年、再来年と発表会を重ねていくことができれば、演奏も、客席の雰囲気も、もっとこなれていくのではないだろうか。それが「歴史の積み重ねだ」と思えてならない。とにかく、両方で発表会ができたことは、私にとっても大変良い経験であった。

 名古屋の発表会の翌日は、母が米寿の誕生日を迎えた。外出が思うようにできず、出かける時は車椅子を使わなければならないが、それでも元気でこの日が迎えられた喜びは大きい。もしかしたら私の方が、本人よりも嬉しがっていたかもしれない、と思うほど、母がいてくれることの喜びを強く感じる1日だった。

 いろいろなことはあるが、概して私の周辺には穏やかな毎日が流れている。世界のあちこちで平和がかき乱されている地球だが、少なくとも今の私は平和の中に身を置いている。そのことの有り難さと幸せを、演奏する作品に込めて表現したい、そんなことを考える今夜の私だ。

和波たかよし

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