2月23日 ロンドンにて

 今、私はロンドンのヒースロー空港から、市内のホテルへ向かう「ホテルリンク」というバスに乗っている。朝成田を発って、およそ12時間の飛行で順調にロンドンへ飛んできた。今日はホテルに着けば良いだけで急ぐ旅ではないからと、ホテルの真ん前まで連れて行ってくれるこのバスを選んだ。

 最近は、ヒースロー・エクスプレスという、パディントン駅までの直通列車を利用し、そこからタクシーでホテルへ行くことが多かったが、駅のホームまでは荷物のカートを持って入ることができないので、美寧子と二人で大騒ぎをしながら荷物を引っ張ってホームを歩かねばならない。運が良ければ駅員が手伝ってくれるが、毎回当てにできるわけではないので、今日はそういう心配のない、楽な方法を選んだのだ。しかし、私たちが到着した第3ターミナルを出発したバスは、20分近く走って、第4ターミナルに停車した。「まだ空港のあたりをうろうろしてたのか」と私は大いに驚いた。そして結局、目的のホテルまでは1時間半余りを要したのだった。

 今は、今夜の宿、ハイドパークに面したホテルの部屋で続きを書いている。美寧子と私は、ヨーロッパへの短い息抜き旅行を計画し、今朝日本を離れた。ロンドンで週末を過ごした後、月曜日からはスイスへ移動し、古い友人に会ったり、音楽会を聴いたりする。まさに、心身を休めるための旅なのである。帰れば、また忙しい生活が待っている。良い音楽を十分に聴いて、養分を補給しながら骨休めをしたい。そんな虫の良いことを考えて出てきたのだが、果たしてどうなるだろうか。

 まず明晩は、ハンガリーの実力派、タカーチュ弦楽四重奏団の演奏で、バルトーク、ハイドン、ブラームスのプログラムを聴く。最近、弦楽四重奏への興味を一段と深めている私にとって、これはとても楽しみな演奏会だ。時差ボケに負けず、しっかり聴いてこなければならない。長年住んで、いろいろな喜びや悲しみを経験したロンドン、久しぶりにこの町の空気を吸い、町の騒音に耳を傾け、思い出に浸ったり、これからのことを考えたりしながら、週末を過ごしたいと思っている。

和波たかよし

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