8月17日 八ヶ岳から

 日本列島で、異常な猛暑が続いている。いよいよ「地球温暖化もここまで来たか」と実感させられる。お年寄りが自宅で熱中症にかかり、亡くなられたりしている事実は、なんと表現してよいかわからぬほど悲しく、寂しいことだ。

 私の隣の家に住む母も、クーラーを入れた屋内にいることが多いものの、時々気分のあまり良くない日もあると言う。それも半ば当然かもしれない。早くこの暑さが去って欲しい物だ。

昨日から、いよいよ今年の「八ヶ岳サマーコース」が始まった。昨日と今日は、ピアニストたちがソナタやトリオを演奏して土屋美寧子がレッスンする、「室内楽短期セミナー」である。これまではほとんどすべて、私が共演者を務めていたのだが、後進に道を譲る意味合いもあって、今年は5人中2名の共演を田島君に頼んでいる。昨夜は彼が「スプリング・ソナタ」を弾いたが、とても軟らかい音で、上品な良い演奏だった。彼の音には、その優しく思いやり深い性格がにじみ出る。もちろん、厳しい生存競争を勝ち抜いて演奏家としての道を歩むには、優しさだけではいけないのかもしれない。だが、こうした人柄の伝わってくる演奏が、最近は少なくなっているような気がしてならない。そして私は、彼のような演奏スタイルをとても気に入っているのだ。

 今日の最初のクラスでは、彼が妹さんとモーツァルトのソナタを共演する。彼が中学生の頃、レッスンに付き添うお母さんと一緒に私の家に来て、2時間近いレッスンをおとなしく聴いていた妹さんが、今年音大を卒業し、今も美寧子のレッスンを受けながらピアノの勉強を続けている。私が彼女のピアノを聴くのは2度目だが、とても楽しみである。

 今年のセミナーは聴講者も多く、なかなかの賑わいである。明日は、コース本体に参加する20名近くが集まり、夜は長坂での室内楽コンサートだ。私にとって、ライフワークとも言うべきこのサマーコース中の大切なイベントだが、今年は長坂のホール主催のコンサートとなったため、こちらもいっそう張り切ってリハーサルなどの準備を進めてきた。話によると、北杜市の市長さんも来てくださるとのこと、皆が幸せな気持ちになる音楽を提供したいものである。

 さあ、間もなく9時半になる。そろそろ住まいを出て、急な坂を上ってレッスン場の山荘へ向かうとしよう。今日はどんな出会いと音楽が待っているだろうか。

和波たかよし

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