2月23日 リサイタル前夜に
昨日から今日にかけて、リサイタルのチケットお申し込みやお問い合わせが、電話やメールでいくつも寄せられ、私は大いに元気づけられた。急に予定が変わって行けることになったとか、何かコンサートはないかとインターネットで探して、私のイザイを選んで下さったとか、いろいろであったが、その一つ一つが私の心にしみ、「ああ、この方のためにも楽しんでいただける演奏をしなくては」と自分の中野プレッシャーを増大させて喜んでいる私である。
お電話を下さる方の中には、私が直接応答すると「びっくりした」と声に出される方もある。出るはずがないと思っている本人が「もしもし、和波です」などと言うものだから、驚いてしまうらしい。だが、「びっくりした」などと言われると、いささかめんくらう。クラシックの演奏家は、事務員が置けるほど裕福ではないし、私はいろいろな方と電話でお話をするのが好きだ。平日なら、音楽事務所に電話して下されば本人と話さずに済むが、休日ともなれば、自宅に電話していただくのが一番手っ取り早いと思っている。だから、できることなら、私が電話に出てもあまり驚かないでいただきたいのである。
ただ、困る電話もある。その筆頭は、セールスの電話である。これは絶対に断ることにしているから、かけるだけ無駄だと思うのだが、それでも物好きにかけてくる。機嫌の悪い時など、思わず電話の相手に当たり散らしてしまうこともあるから、ご用心いただきたい。でも、「コンサートに行きたい」というような電話であれば、たとえ機嫌の悪い時でも満面の笑顔になる。現金なものだが、仕方がない。
そういえば、昨日今日はセールスの電話や、こちらの気分が悪くなるような電話は一本もなかった。お陰で私は、健やかな心で練習に身を入れることができた。そして明日は、いよいよ東京の本番である。イザイは本当に面白い。それを存分に味わっていただけるようにと祈るのみだ。足を運んで下さる皆さんに「ありがとう」の気持ちを込めて、私はステージに向かう。
和波たかよし
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