2月29日 喜びと孤独と

 イザイのコンサートが終わって、早くも6日目の夜を迎えている。2月も今日で終わりだ。

 先週末は、体も心も、本当に充実していた。あれほどの爽快感をもって本番に臨んだのは、久しぶりの経験だった。「弾くことはなんと楽しいのだろう」と実感した。そして、当日は多くの方々から「素晴らしいイザイだった」と喜んでいただいた。あの温かい拍手も、まだ耳の奥に残っている。「しばらくは満足感に浸っていてもいいか」と、自分を許してしまった。

 イザイは、弾いていて本当に面白い。しかも、私は以前この全曲演奏をした36年前の記憶をちらちらと思い出しながら、練習に明け暮れていた。若い頃は若い頃で、悩みは多かったし、苛立ちもあった。だが、とにかく元気でここまで演奏一筋の人生を歩んでこられた喜びは、たとえようもない。そして今、またイザイ全曲を演奏する機会が与えられ、多くの方々が熱心に耳を傾けて下さったことは、何よりの喜びであり、励みである。これを土台に、ますます元気を出して、より良い音楽をお届けするために精進しよう、と自分に誓ったのだった。

 だが、コンサートの翌日は、虚脱状態の中で「もう終わってしまったのだ」という何とも形容し難い寂しさを心に抱え込んで過ごした。とにかく成功したのだから、もっと喜んでいればいいのに、と自分でも思うのだが、自分の心なのになかなか思うようにならない。演奏前の爽快感とは逆の不思議な孤独感と共に、数日を送ってしまった。たぶん、単に疲れたということなのだろう。また次の仕事が近づけば、独りでに元気が戻ってくる。私は、そんな人間なのだ。

 今週は、サマーコースのチラシの原稿を、美寧子と共に作った。週末は詳しい要項を書いて、来週にはホームページに掲載する予定だ。去年より多くの参加者が八ヶ岳を訪れてくれることを願いながら、私は3月を迎えようとしている。

和波たかよし

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