4月6日 本音の私でいたい
最近は、個人情報の取り扱いがうるさくなってきた。私は、自分の情報について、わりあい無頓着に開示してきたのだが、それが思いもよらない結果を招く可能性があることに気付くと、どうしても神経過敏になってしまう。
先日も、知人の関係する会社が危ないとの話を聞き、確かな筋からの情報を得ようとしたのだが、「あまり大っぴらにはできないんですよ。インサイダー取引とか、いろんな問題が出てくるので」とのことだった。私がそんな取引とは無関係であることをよく知っている相手だったので、極秘情報を教えてくれたが、「うっかり他の人には話せないな」と思った。
このページでも同じことだ。たとえば、間もなく海外旅行へ出かける、といった書き込みをすれば、泥棒さんが見ていて、行動を起こすかもしれない。だから、帰国した後で旅行中の書き込みをまとめて公開する、といった配慮をしなければならなくなる。せっかくのインターネットなのだから、リアルタイムの情報を世界のあちこちからあっぷできたら、それに越したことはないのだが、なかなか思うようにはいかないものだ。
20年近くも前のこと、イギリスで家を買い、建物と家財を保険に入れようとしたのだが、職業を「演奏家」と告げると、「じゃあ留守になることが多いでしょう。それではお引き受けできません」と、国内のすべての会社から断られてしまった。最終的には日本の保険会社に引き受けてもらったが、大変な国に来てしまったものだとがっくりした。
個人情報の問題がこれほどうるさくなってきたのは、それを悪用する馬鹿なやからが大勢いるからに他ならない。悪人に気兼ねして、びくびくしながら生きていく、そんな世の中になってしまったようだ。
私が若かった頃、人々はもっとのびのびと、世間に気兼ねせずに自分の生き方を追求していたように思われる。今はマスコミに影響され、ネットに翻弄され、本当に自分がどう考えるかを突き詰めないまま、行動している人が多くなったような気がしてならない。本音が言いにくくなった時代、そんな風に考えるのは私だけだろうか。
でも、幸運なことに、私には音楽という表現手段がある。音楽の中でだけは、常に本音で語りたいと思う。今日は小規模なサロンコンサートを行ったが、集まって下さったお客様に大変喜んでいただき、主催者からは直ちに「来年も是非」とのオファーがあった。これほど有り難く、嬉しいことはない。演奏して、それを喜んでいただけたと実感できる時、それが私の最も幸せな瞬間だ。これからも、そうした幸せを自分の中で積み重ねていけるように、毎日を前向きに過ごしていきたい。
明後日から、また名古屋行きが始まる。レッスンは何でもないが、往復に取られる時間と肉体的な疲れ、精神的なストレスが半端ではない。これを乗り切るのは、強い気持ちしかないだろう。後は、学生たちがよく勉強して私を喜ばせてくれること、それを切に願っている。
和波たかよし
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