美しきロスマリン 和波たかよしとの輝けるひととき2
Schoen Rosmarin
Takayoshi Wanami Plays Favorite Violin Pieces 2
  1. バッハ/クライスラー:ガヴォット
    J.S.Bach/F.Kreisler : Gavotte

  2. モーツァルト/クライスラー:ロンド
    W.A.Mozart/F.Kreisler : Rondo

    ドヴォルザーク:4つのロマンティックな小品 Op.75
    A.Dvorak : Romantick Pieces op.75
  3. I.Allegro moderato
  4. II.Allegro maestoso
  5. III.Allegro appassionato
  6. IV.Larghetto

  7. クライスラー:ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
    F.Kreisler : Rondino ueber ein Thema von Beethoven

  8. クライスラー:美しきロスマリン
    F.Kreisler : Schoen Rosmarin

  9. クライスラー:前奏曲とアレグロ
    F.Kreisler : Praeludium und Allegro

  10. 武満 徹:悲歌
    T.Takemitsu : HIKA

    プロコフィエフ:5つのメロディー Op.35 bis
    S.Prokofieff : 5 Melodies op.35 bis
  11. I. Andante
  12. II.Lento,ma non troppo
  13. III.Animato,ma non allegro
  14. IV.Allegretto leggero e scherzando
  15. V.Andante non troppo

  16. チャイコフスキー:メロディー
    P.I.Tchaikovsky : Melody

    バルトーク/セーケイ:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56
    B.Bartok/Z.Szekely : Rumanian folk dances Sz.56
  17. I.Stick dance
  18. II.Waistband dance
  19. III.Stamping dance
  20. IV.Hornpipe dance
  21. V.Rumanian Polka
  22. VI.Fast dance

  23. エルガー:愛のあいさつ op.12
    E.Elgar : Salut d'Amour op.12

    バークレイ:エレジーとトッカータ
    L.Berkeley : Elegy and Toccata
  24. I.Elegy
  25. II.Toccata

  26. クライスラー:才たけた貴婦人
    F.Kreisler : La Precieuse

  27. ドビュッシー/ハルトマン:亜麻色の髪の乙女
    C.Debussy/A.Hartmann : La fille aux cheveux de lin

  28. ファリャ/クライスラー:スペイン舞曲
    M.de Falla/F.Kreisler : Dance espagnole
和波たかよし/ヴァイオリン(Takayoshi Wanami/violin)
土屋美寧子/ピアノ(Mineko Tsuchiya/piano)
録音:1996年10月 府中市ウィーンホール
Recorded at Wien-Hall, Fuchuu, Japan in October 1996
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 「ユーモレスク」と題した小品集を録音したのは、今から9年前のことである。あれは 、「家で和波さんのユーモレスクが聴きたい」との愛好者からのお手紙がきっかけとな って実現したのだった。その後、バッハの無伴奏作品や、ブラームス、シューマンの協奏曲など、私の重要なレパートリーのCDを次々製作する機会に恵まれた。これはひとえに、プロデューサーの中野雄氏と、アートユニオンを初めとする関係者のご理解のお陰であり、ここに改めて深い感謝の意を表したい。

 1995年の秋、私にとって長年の念願だった土屋美寧子との「ブラームスのソナタ全曲」のCDが完成し、その折り「こんどは久しぶりに、くつろいで楽しめる小品集を作り ましょう」との提案が中野氏からあった。私も喜んで同意し、日頃よくコンサートで演奏する小品の中から、前回収められなかった15曲を録音した。

 ここで演奏した曲には、それぞれ懐かしい思い出がある。その総てを語る紙面の余裕 はないが、たとえばクライスラーの編曲になるバッハの「ガヴォット」とモーツァルト の「ロンド」は、1963年の元日に、私が初めて本格的なテレビの音楽番組に出演したときの曲であった。「お正月に相応しい曲を」と、恩師の江藤俊哉先生が選んで下さったのだが、いずれも明るさと優雅さに満ちた素晴らしい編曲だと思う。クライスラーの「 ロンディーノ」は、1962年にコロンビア・レコードの依頼で数曲の小品を吹き込んだ折、最初に演奏した作品である。少年時代からずっと弾いている訳だが、これを弾くと不思議に心がすっきりと明るくなる。

 こうした単一の小品だけでなく、二つ以上の曲を組み合わせた連作形式の作品も、今 回のアルバムに含まれている。ドヴォルザークの「四つのロマンティックな小品」には、青春の物語を聴くようなしみじみとした味わいがある。またプロコフィエフの「五つのメロディー」は、ドイツとイギリスでデビューした1969年頃から弾いているが、美寧子と共に崩壊直前のソ連を訪れてモスクワとレニングラードで演奏し、大きな拍手を受けたことが忘れられない。先頃惜しくも亡くなられた武満徹氏への私たちの追悼の気持ちを込めて、「悲歌」も収録した。病身を押して、松本でのサイトウ・キネン・オーケストラの練習に出席された1995年の秋、私にも声をかけて下さったのだが、地球環境、ひいては人類の行く末を案じておられた武満氏の心がこの小品にも現れているように思える。私にとっては、1978年の北川曉子さんとの録音に続く2度目のレコーディングだけに、感慨ひとしおのものがあった。

 私たちがヨーロッパの拠点にしているイギリスからは、今や最もポピュラーなヴァイオリン曲の一つとなったエルガーの「愛のあいさつ」と、おそらくほとんどの方が初めてお聴きになるであろう、バークレイの「エレジーとトッカータ」を選んだ。バークレイの作品は、いかにもイギリスらしい気の利いた小品で、その音の背後には、のどかなイギリスの田園風景が広がっているような気がする。

 私は、心のアルバムのページをめくるような気持ちで、一つ一つの曲を弾いた。美寧子との20年にわたるパートナーシップの歴史も、その音の中に刻まれている。そして、この録音も又、私にとって忘れ難い思い出の1ページとなることだろう。お聴き下さる皆様にも、名曲の数々を充分に楽しんでいただけるようにと願っている。

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