「和波たかよしと仲間たち」シューベルト生誕二百年記念コンサート
Takayoshi Wanami & Friends Chamber Music
Franz Schubert Bicentenary
    ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 D.898
    Trio No.1 in B flat Major for Piano,Violin and Cello D.898
  1. I.Allegro moderato(14:55)
  2. II.Andante un poco mosso(10:17)
  3. III.SCHERZO Allegro(6:47)
  4. IV.RONDO Allegro vivace(9:16)

    ピアノ五重奏曲 イ長調 D.667 「鱒」
    Quintet in A Major for Piano,Violin,Viola,Cello and Contrabass D.667 "Trout"
  5. I.Allegro Vivace(9:07)
  6. II.Andante(6:56)
  7. III.SCHERZO Presto(4:12)
  8. IV.Andantino 〜 Allegretto(7:48)
  9. V.Allegro giusto (6:42)
和波たかよし/ヴァイオリン(Takayoshi Wanami/violin)
土屋美寧子/ピアノ(Mineko Tsuchiya/piano)
北本秀樹/チェロ(Hideki Kitamoto/cello)
松実健太/ヴィオラ(Kenta Matsumi/viola)
市川雅典/コントラバス(Masanori Ichikawa/contrabass)
録音:1997年2月26日 東京文化会館小ホール
recorded on February 26, 1997 at Tokyo Bunkakaikan Recital Hall
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 「室内楽」という言葉を聞くと、私の脳裏に二つの光景が浮かんできます。一つは、19歳の夏に訪れたアメリカのマルボロ音楽祭。広くて静かな町のあちこちに点在する学校やコテージなどの建物で、絶えず室内楽のリハーサルが行われ、私はそれらを間近で聴くことを許されたのです。ルドルフ・ゼルキンを中心に、年代や国籍を異にするたくさんの演奏家が集い、真剣に音楽と取り組んでいる様子は、私の心に忘れがたい感銘を残し、「これこそ生きた音楽だ」と胸の熱くなる興奮を覚えたのでした。

 もう一つは、イタリア・シエナのアカデミア・キジアーナ。がっしりした石造りの建物の、天井の高い室内楽クラスのレッスン室です。そこで教えておられたピアニスト、セルジョ・ロレンツィ先生の、体じゅうから湧き出るような生き生きした音楽にすっかり心を奪われた私は、二夏をこの地で過ごし、欧米の仲間たちと室内楽の勉強に明け暮れました。20代前半の懐かしい思い出です。単に楽譜を良く読み、精密なアンサンブルを磨くだけではなく、そこに演奏者同士の暖かい心の交流と、音楽への誠実さがあって、初めて本当の室内楽ができあがるのだということを、これらの貴重な体験が教えてくれたのでした。

 ゼルキンもロレンツィも卓越したピアニストであり、室内楽に並々ならぬ情熱を注いでいました。この偉大な先生方との出会いから、私はピアノを含む室内楽の魅力に強く引かれて行ったのです。そして、妻の土屋美寧子も、結婚直前に同級生たちとピアノトリオのコンサートを開くなど、室内楽に感心の高いピアニストでした。私たちは、今年から気心の知れた仲間や、有望な若手に共演を求め、定期的に室内楽の演奏会を開くことにしました。その第1回が、このCDに納められたライブ録音で、これは私の室内楽奏者としてのCDデビューともなりました。私のコンサートの記録をCDとして残し、活動のいろいろな面を伝えようとして下さるエプソン社の試みに深く感謝しています。

 共演者一人一人が、音楽の中でのびのびと語り合い、聴いて下さる皆様にもその語らいに参加していただく、それが私の目指す室内楽の姿です。それぞれが、丹精した草花を持ち寄って美しい花壇を作る.....そのような音楽創造ができれば幸せだと思います。私たちの演奏で、気高くしかも親しみ深いシューベルトの芸術の素晴らしさを、少しでも味わっていただければと願っております。

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